（６）雲林院うじい氏とは

(6) 雲林院氏うじいしとは

雲林院うじい氏は伊勢国（現三重県）北伊勢を本貫とする豪族工藤・長野氏の一族で、　

　その先祖は源頼朝より伊勢国数カ所の地頭として補せられた工藤薩摩守祐長より始まると云われています。

　祐長は伊勢国安濃津（現在の三重県津市内）に城を築いています。祐長に二子あり、嫡子を大和守・　次男を

　出羽守と称しました。その後、子孫繁栄し所領を分割し大和守は長野の城を、出羽守は北伊勢の雲林院うじい

　の城を相続したと云われています。雲林院うじい弥四郎光秀は「出羽守」の系統です。南北朝期九代目工藤

高景と十代目工藤祐重は足利尊氏の配下で、手柄に依り足利氏の定紋「丸に二つ引両」使用の許可が与え

　られています。室町幕府は鎌倉以来の土豪、工藤・長野氏・雲林院うじい氏や伊勢平氏の末裔、北条

　早雲の出身でもある鈴鹿の関氏等を伊勢国司北畠氏の抑えとしました。

　国司北畠氏が戦国期の伊勢国制覇が出来なかった理由の一つは国人、長野氏・雲林院うじい氏の

　存在があったからです。戦国期長野氏・雲林院うじい氏で長野輝伯（藤定）は名立たる武道の達人として殊に

　有名でした。