| 律令制下での伊勢神宮、鹿島神宮、香取神宮の大社では神宮検非違使が神領地の治安維持 |
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に当たっていました。しかし、神道では触穢、禁忌は厳しく、誅戮の必要のある重罪については |
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神領外の守護に犯罪者を引き渡すのが伊勢神宮での慣例であったようです。 |
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「検非違使と放免」 法然聖人絵傳・知恩院蔵 |
| 鹿島神宮に於いては鎌倉幕府を創設した源頼朝が鹿島神宮の神官職の中に「惣大行事職」を設置 |
| し「重禍之者在之時」に、惣大行事職に「切害」させたとあります。実質的には「地頭職」の代 |
| わりとして惣大行事職を治安警護に当たらしめています。しかし、室町時代に至りますと、 |
| 惣大行事職が専横になったり、神領地の押領が相次いだ為、関東管領が常陸守護佐竹氏に命じて |
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事態の収拾に当たらせています。 |
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「鹿島大神宮神官補任略記」（古事類苑３１）に掲載されている神宮検非違使は、宮介権禰宜、 |
| 和田権祝、増田権祝、物申権祝、田所権祝の名前があります。戦記物語等に偶々記述されている |
| 明治迄大社の神領地内での生活習慣は、一般の人達でさえも神道の「触穢」や「禁忌」を守って来ました。 |
| ましてや鹿島神宮の社家とか神人と呼称された神に仕える者達は更に厳しく律せられていました。 |
| 宮中で「刀」を振り回したり、大きな「気合い」を発する事は、最も慎むべき事の一つでした。鹿島神宮 |
| の神領地内に「戦国時代剣術（刀法）道場が盛況した。」等の逸話は神道を無視したとんでもない作り話です。 |
| 中世以来、香取神宮・鹿島神宮の神領地で「触穢」「禁忌」を憚らなかったのが香取神宮大禰宜支配の |
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「海夫」達でした。「海夫」は香取神宮神人田所家庶子飯篠氏の統率で江戸湾での海上関「関銭の徴収」等 |
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の任務等にも随行しています。洛中での検非違使が「放免」を下級刑吏として使用していた様に、香取神宮では |
| 本来は漁労の民「海夫」に「刑の執行人」等の「清目」の役目をも課せていました。 |
| 新當流が鹿島神宮神人ではなく香取神宮神人飯篠氏から興った理由は「海夫」 を武装化する為、基礎的な |
| 「兵法」を教練したことから始まります。 |
| しかし、鹿島出身の塚原卜傳が天文年間それまでの長刀・槍等の長柄兵法に加え「一之太刀」と称して（介者 |
| 刀法）を加え一世を風靡した為、あたかも「新當流」は塚原卜傳が流祖であるかの様な逸話が出来上がって今 |
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日まで伝えられてきました。しかし、新當流開祖香取神宮神人の飯篠氏にとっては「廂 |
| れる。」様な逸話である事は、今回の史料で解ります。 |
